コンシューマー電機メーカーのiPhoneがなぜ関税の標的にされているのか?

トランプ大統領が、made in USAではないiPhone(その後、Androidスマートフォンも)には25%の関税をかけると意向表明したことで、またもや値上げ確定の予想が出てきていますが、そもそも、Appleはコンシューマー電機メーカーで、国家安全保障には影響しないにも関わらず、なぜiPhoneが標的にされたのか?について、Ming-Chi Kuo氏が見解をツイート。

1. 知名度の高いターゲットへの圧力は、宣伝効果を増幅させる。世界で最も有名な企業であるアップルとその象徴的なiPhoneに「メイド・イン・アメリカ」政策を採用させることは、最大限の露出を生み、トランプの継続的な物語を強化する。

2. 反対や報復に消極的なターゲットを選んでいる。
アップルは、トランプ大統領の発言に公然と異議を唱えたり、重要な対抗措置を講じたりすることに消極的であるため、トランプ大統領が継続的に圧力をかけるリスクを最小限に抑えることができる。

3. どのような結果であっても利益を確保する。
アップルがiPhoneの組み立てを米国に戻せば、トランプはそれを「メイド・イン・アメリカ」の大きな成果として宣伝し、重要な政策的勝利を収めることができる。アップルがトランプの標的から一時的に身を守る協定を結べば、トランプはその協定を通じて自分が望む他の利益を確保することができる。将来、「メイド・イン・アメリカ」を推進する必要が生じたとき、トランプ大統領はアップル社を標的にすることを再開し、関税の脅威で圧力をかけることができる。

トランプが推進している関税政策が成功した一例として、made in USAのiPhoneが欲しいという考え方は、確かにあり得そうです。

ただ、今まで他の国で製造していたiPhoneを、すぐに米国内で製造開始することは現実的ではないし、これは当然、トランプもわかっていると思うんですよね。

であれば、Appleがまずやるのは、米国政府に工場建設を含む、ロードマップを提示して、それまでの間は関税を止める交渉をする、ということなんじゃなかろうか。

silver iphone 6 and red iphone case

この辺、Tim Cook CEOの交渉手腕が問われる場面になりそうです。

Tim Cook CEOは、Appleの前にはIBMの北米フルフィルメント担当ディレクターだったり、Apple入社後にはワールドワイドオペレーション、ワールドワイドセールスの各部門を担当していて、コスト削減に尽力しているのでサプライヤーとの交渉にも長けていると思うのですが、今回はトランプ/米国政府相手であって、取引先のサプライヤー相手ではないので、かなり不確実性が高そうに思います。

ただ、ロイターの記事「トランプ氏が目指すiPhoneの国内製造、多数の難題に直面」の中で紹介されているアナリストの試算では、米国に移転するのに10年かかり、1台当たりのコストは3500ドルになる可能性もあるので、実現不可能と考えているという話もあります。

神がかり的な交渉術に長けていたSteve Jobsであれば、トランプにトロフィーを渡しながら、Appleが損をしない落とし所もあり得たかも。

とりあえず、日本国内での価格だけ抑えてくれませんかねえ(多分、無理)。

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