PalmFan.comとは | Palm OSの歴史と進化、今のモバイルデバイスを記録する専門メディア
PalmFan.comは、1990年代に一世を風靡したPDA向けOS「Palm OS」と、その思想を受け継ぐモバイル・ガジェットの進化を記録する日本発の専門メディアです。サイト開設は1997年。
Palm OSデバイスの歴史を軸に、iPhone、Mac、iPad、Apple WatchなどのApple製品を含む、現代のテクノロジーへとつながる系譜を継続的に発信しています。
長期運営と海外一次情報を重視した取材・検証を通じて、信頼性の高いテック情報を提供することを目指しています。
高速起動、直感的なタッチ操作、シンプルなUI設計という思想は、後のスマートフォンやモバイルOSにも大きな影響を与えました。
PalmFan.comの前身は、1997年5月開設のPalm OS関連情報発信サイト「Pilot/PalmPilot Fan」。
1998年4月に改名し、「PalmFan.com」ドメインを取得,バナースポンサーシステムで運営費をまかない,Palmデバイスユーザーによるユーザーのための情報共有サイトとして運営していました。

1997年の開設以降、全ての記事の執筆編集、および,2008年以降のデザインはM.Hiroseが行っています。お問い合わせはコンタクトフォームからお願いします。
【2017年1月に一般公開した現在のWordPress版では,2014年7月以降の記事が掲載されています。1997〜2014年7月までの記事はレガシー・コンテンツに公開予定です。】
Palm OSとは? | PDA時代を築いたモバイルOS

アルファベットを一筆書きで認識させるGraffiti,サードパーティやユーザー自らが開発したソフトウェアによって機能が増えていくことも魅力だった
Palm OSの歴史 | 誕生から衰退までの年表

1996〜2000年:Palm PilotとPDAブームの始まり
- 1996:Palm Pilot 1000 発売。Palm OSの原型が誕生
- 1997:PalmPilot Professional 登場。ビジネス用途で普及
- 1998:Palm III シリーズ発売。デザインと操作性が進化
- 1999:Palm IIIc 登場。カラー液晶を初搭載
- 2000:Palm V 発売。薄型・金属筐体で完成度を高める
- 2000:Handspring Visor 発売。拡張スロットで差別化



このPalm OSを採用したPalmデバイス製品は,1990年代には世界各国でハンドヘルド市場を確立するに至りました。
カラー化と高機能化の進展、Treo登場とスマートフォンへの進化
- 2001:Palm m500/m505 発売。カラーPDAが本格普及
- 2002:Palm OS 4.0 公開。マルチメディア性能を強化
- 2003:Palm OS 5(Garnet)登場。ARMプロセッサに対応
- 2003:Sony CLIÉ シリーズ展開。高性能Palm OS端末が登場
同時に日本でも「Palm Magazine(アスキー)」などのPalm関連雑誌などが多数発刊され、PalmFan.comでも製品やアクセサリー情報、ティップス,新着ソフトウェアの紹介記事などを,ほぼ毎日更新を行っていました。






日本でのPalm OSデバイス製品の普及に大きく貢献しました。
「CLIE」は,その当時ではまだ他社が出していなかったディスプレイのハイレゾ化,日本語への対応,カメラ機能/音楽機能/電子辞書の充実を図り,デザインなどを改良。5年の間に18機種を発売し、2005年7月に生産終了となりました。
この頃,ハンドヘルド・デバイス,モバイル・デバイス製品市場は,さまざまなイノベーションが起こり,iPhone,Androidスマートフォン,Blackberryなどの他社製品のシェアが増していきました。
- 2004:Palm Treo 600 発売。電話機能を統合
- 2005:Palm Treo 650 発売。Palm OSスマートフォンの代表機
- 2005:Palm LifeDrive 発売。大容量ストレージを搭載
- 2006:Palm TX 発売。Wi-Fi搭載の集大成モデル
2007年以降:Palm OSの終焉とその後
- 2007:iPhone 発表。タッチUI主導の時代が始まる
- 2007:Palm OSの開発停滞が顕在化
- 2009:Palm Pre 発売。OSはPalm OSではなくwebOSを採用
- 2010年代:Palm OSは終了。思想はスマートフォンに継承
スマートフォン「Pre」シリーズは継続発売されるものの,初のwebOSタブレット「TouchPad」が発売一ヶ月で開発終了となります。



HPによるPalm, Inc買収,そして,LGへの売却
Hewlett-Packard社がPalm, Incを買収することを発表したのは2010年4/28。
当時のHPのMark V. Hurd CEOの発表では,スマートフォン製品だけでなく,将来的にHP製プリンターやその他の製品にもwebOSを搭載していく方針であり,両社にとって利益の大きい買収であることがアピールされていました。



しかし,その後,Mark V. Hurd CEOが個人的なトラブルで解任。暫定CEOを経て,Léo Apotheker CEOとなったタイミングでHP社の戦略転換が行われました。
これには,webOS搭載ハードウェアの開発凍結(webOSソフトウェアは開発継続),他の部門ではPCノートブックを含むパソコン事業部の再構築などが含まれ,PC部門のスピンアウトと受け止めた株式市場では,HP社の株価が20%程度下がることもありました。
Apotheker CEOからMeg Whitman氏にCEOが移行した後,再び,HPの開発戦略が変更となります。
最終的には,webOSソフトウェア自体の開発も凍結され,その後,webOS開発チームはLGに売却されました。
LGのスマートTV用のOSとして採用されるwebOS
2014年,LGは次世代スマートTVのOSとしてwebOSを採用。
webOSチームはOSの開発強化を継続し,マルチプラットフォームの開発環境「Enyo」の開発も行われていましたが,webOS搭載のスマートフォン/タブレット製品が新たに開発発売される可能性は低くなりました。

Palm OSデバイスが残した思想と影響

このようなモバイル市場の移り変わりを肌で感じていたPalmFan.comでは,2014年より「iPhoneなどの”パーム・サイズ”のスマートフォンや関連ガジェット,Macなどを中心とした情報ページ」としてのテーマ転換を行いました。
同時にiPhoneなどのスマートフォン,iPadなどのタブレットといったモバイルOSでの表示に最適化したレスポンシブ・デザインを意識し,新しいテクノロジーを取り入れながらコードを追加するなどのデザイン変更を行いながら,2017年1月からはWordPressベースのサイトに転換し,情報提供を続けています。
PalmFan.comを続ける理由
Palm Japanが日本市場から撤退したとき、ソニーがCLIEの開発を終了したとき、多くのPalm関連サイトが更新をやめていったとき——正直に言えば、PalmFan.comを終了する選択肢は、そのたびに頭をよぎりました。
それでも続けてきたのは、シンプルな理由からです。
モバイルデバイスの歴史は、今も続いている。
Palm OSが提示した「引き算の設計思想」——余分な機能を削ぎ落とし、使い勝手を徹底的に追求するという発想は、iPhoneをはじめとする現代のスマートフォンに確実に受け継がれています。あの小さなデバイスが切り拓いた道の上に、今の私たちのデジタルライフがあります。
Palm OSを実際に使っていた人だけでなく、その存在すら知らなかった人にとっても、この系譜は「今使っているものがなぜこうなっているか」を理解する手がかりになると思っています。
PalmFan.comは、その記録と、現在進行形のApple製品・ガジェット情報を発信し続けるサイトです。古参の方にも、はじめて訪れた方にも、何かひとつでも持ち帰ってもらえるものがあれば、とても嬉しく思います。
オリジナル:2016年12月26日
アップデート:2026年1月23日、2026年4月4日