PalmFanについて

このサイトについて

このサイトでは「iPhoneなどの”パーム・サイズ”のスマートフォン,Apple製品、その時に僕が気になることやモノを取り上げる情報ページ」として運営されています。

サイトの開設は1997年。以降、現在までの記事の執筆編集、および,2008年以降のデザインは,M.Hiroseが行っています。



このサイトの沿革については、このページの続きをご覧ください。

2017年1月に一般公開した現在のWordPress版では,2014年7月以降の記事が掲載されています。1997〜2014年7月までの記事はレガシー・コンテンツに公開予定です。


Palm OS製品としてブレイクした,US Robotics製PalmPilot。
アルファベットを一筆書きで認識させるGraffiti,サードパーティやユーザー・デベロッパーによるソフトウェアによって,機能が増えていくことも魅力でした

PalmFan.comのはじまり

このサイトは1997年5月より運営を行っていた,Palm OS関連情報発信サイト「Pilot/PalmPilot Fan」をベースにして,1998年4月に改名しドメイン「PalmFan.com」を取得,同時にバナースポンサーシステムを導入して運営費をまかない,Palmデバイスユーザーによるユーザーのための情報共有サイトとしてスタートしました。


Palm OSとは

Palm OSは,Jeff Hawkinsが中心となり開発された,”Zen of Palm”思想に基づく,モバイル向けのユーザーインターフェイスや機能が特徴のモバイル用OSです。


Zen of Palm by PalmSource,Inc. (1996-2003)より。
このPalm OSを採用したPalmデバイス製品は,1990年代には世界各国でハンドヘルド市場を確立するに至りました。

多くのPalmデバイスが発売された最盛期

Palm OSデバイスの最盛期には,palmOne/Treo/CLIE/iQue/Dana/Kyocera 7135/Zodiac/Fossile Wrist PDAなど,国内海外で数々のPalm OS製品が発売。

同時に日本でも「Palm Magazine(アスキー)」などのPalm関連雑誌などが多数発刊され、PalmFan.comでも製品やアクセサリー情報、ティップス,新着ソフトウェアの紹介記事などを,ほぼ毎日更新を行っていました。


日本市場では,ソニーのCLIEシリーズのPalm OSデバイス「CLIE」が発売。

日本でのPalm OSデバイス製品の普及に大きく貢献しました。

「CLIE」は,その当時ではまだ他社が出していなかったディスプレイのハイレゾ化,日本語への対応,カメラ機能/音楽機能/電子辞書の充実を図り,デザインなどを改良。5年の間に18機種を発売し、2005年7月に生産終了となりました。

レガシーOSからwebOSへの戦略転換

この頃,ハンドヘルド・デバイス,モバイル・デバイス製品市場は,さまざまなイノベーションが起こり,iPhone,Androidスマートフォン,Blackberryなどの他社製品のシェアが増していきました。

Palm, Incは,オリジナルのPalm OSから,モダンなインターフェイスと機能を備えるwebOSへと切り替えを行い,ハードウェア・キーボードを備える「Pre」シリーズなどを投入しますが,2012年にPalm, IncがHPに買収。

スマートフォン「Pre」シリーズは継続発売されるものの,初のwebOSタブレット「TouchPad」が発売一ヶ月で開発終了となります。

HPによるPalm, Inc買収,そして,LGへの売却

Hewlett-Packard社がPalm, Incを買収することを発表したのは2010年4/28。

当時のHPのMark V. Hurd CEOの発表では,スマートフォン製品だけでなく,将来的にHP製プリンターやその他の製品にもwebOSを搭載していく方針であり,両社にとって利益の大きい買収であることがアピールされていました。


しかし,その後,Mark V. Hurd CEOが個人的なトラブルで解任。

暫定CEOを経て,Léo Apotheker CEOとなったタイミングでHP社の戦略転換が行われました。

これには,webOS搭載ハードウェアの開発凍結(webOSソフトウェアは開発継続),他の部門ではPCノートブックを含むパソコン事業部の再構築などが含まれ,PC部門のスピンアウトと受け止めた株式市場では,HP社の株価が20%程度下がることもありました。

Apotheker CEOが退任し,Meg Whitman氏が新CEOになった後,再び,HPの戦略が変更。

最終的には,webOSソフトウェア自体の開発も凍結され,その後,webOS開発チームはLGに売却されました。

LGのスマートTV用のOSとして採用されるwebOS

2014年,LGは次世代スマートTVのOSとして,webOSを採用。

webOSチームはOSの開発強化を継続し,マルチプラットフォームの開発環境「Enyo」の開発も行われていましたが,webOS搭載のスマートフォン/タブレット製品が新たに開発発売される可能性は低くなりました。


そして,現在。

以上のようなモバイル市場の移り変わりを肌で感じていたPalmFan.comでは,この時代に対応するべく,2014年より「iPhoneなどの”パーム・サイズ”のスマートフォンや関連ガジェット,Macなどを中心とした情報ページ」として記事で扱う方向への転換を行いました。

同時にiPhoneなどのスマートフォン,iPadなどのタブレットといったモバイルOSでの表示に最適化したレスポンシブ・デザインを意識し,新しいテクノロジーを取り入れながらコードを追加するなどのデザイン変更を行いながら,2017年1月からはWordPressベースのサイトに転換し,情報提供を続けています。

運営者が今思うこと

今にして思えば,Palm Japanが日本市場から撤退した時,また,ソニーがCLIEの開発を終了した時、多くのPalm関連サイトが更新をやめた時,そして,HPからwebOS製品が発売される可能性が低くなった時,それぞれのタイミングで,PalmFan.comを終了する選択肢が存在しました。

しかし,読者の方々から頂いた,たくさんのメール。
ここがきっかけで知り合った多くの方々。
多方面に渡って大きなサポートを行ってくれた初期のPalm, Incチームの皆さん。
デモ機を送ってくれたTRG社,Palm, Inc,ソニーの「CLIE」担当者の皆さん。
そのほか,ここでは書き切れないほどのたくさんの支援者,コントリビューターの皆さん。

ここがきっかけで生まれた多くの仕事,そして,それらの仕事を一緒に成し遂げたパートナーの皆さん,それぞれの顔を思い浮かべたとき,PalmFan.comを終了する道を選ぶのは簡単ではありませんでした。

実際のところ,現在のスマートフォンOSにはPalm OSやwebOSが採用していたデザイン/UI言語,機能が色濃く残っています。

以下の記事にもあるように、モバイルデバイスの歴史の中でPalm OS製品が果たした役割は決して小さなものではありません。

今では、以前のPalmユーザーの多くはiPhoneやAndroidスマートフォンを使っていて,私自身もメインのモバイルデバイスとして,iPhone,iPad,Macを使っています。

しかし,この約20年を振り返ってみたとき,今のスマートフォン/タブレット市場は,PalmデバイスとPalm OSが無かったら,現在のような状況は生まれていなかったでしょう。

その陰には,機能を引き算していくことでユーザーの使い勝手を向上させるという,それまでとは逆の発想でアイディアを出し,開発を行い,さまざまなハードルに挑戦してクリアしようという姿勢を貫いていたPalm OSの開発チーム,そして,後年ではwebOS開発チームの努力がありました。

これらの事実にリスペクトしながら,現代のモバイルデバイスの動向を伝える「PalmFan.com」というサイトを続けることは,Palm OS/webOSに関わった皆さんに感謝の意を示す一つの方法になるのではないかと思い,可能な限り更新を続けていこうと考えるようになりました。

Palmを愛しながら,その他のモバイルデバイスやガジェットを使う全ての人に。

2016年12月26日 月曜日

M.Hirose

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