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App Storeはあなたのタップをすべて記録している──オプトアウトする方法が無い

あれ?いつの間にかタップ挙動がトラッキングされてる?しかも、オプトアウト不可。

App Storeのタップトラッキング

Appleがパーソナライズ推薦機能のためにApp Storeユーザーの全タップをリアルタイムで収集しているとして、セキュリティ研究者が警告を発しています。この収集はユーザーがオフにする手段がなく、改めてAppleのプライバシー姿勢に疑問が生じています。

発端:1本のXポスト

6月9日、セキュリティ研究者のMysk(@mysk_co)がXに投稿しました。

「AppleはApp Storeで収集している詳細な識別可能データを実際に活用し始めた。あなたのタップをすべて記録しており、オフにする方法はない。タイピング速度まで算出できる。」

投稿には、”Tim cook”と検索した際にApp StoreからAppleへ送信されるデータのスクリーンショットが添付されていました。ログには「T」「Ti」「Tim」「Tim c」……と入力のたびにイベントが記録されており、タイムスタンプからキーストローク間隔、つまりタイピング速度まで算出できる粒度です。

背景:App Storeの新機能「Personalized Collections」の導入が引き金

このポストが注目を集めた直接のきっかけは、AppleがWWDC 2026でApp Storeの新機能「Personalized Collections」を発表したことです。

CONFIRMED — ソース: via TechCrunch、 via Apple Newsroom

  • AppleはWWDC 2026でApp Storeに「Personalized Collections」を発表
  • ユーザーの興味・行動履歴に基づいてアプリを個別推薦する機能
  • 「App Notes」として、なぜそのアプリが推薦されたかの理由も表示
  • Apps・Games・Searchタブに表示。使用状況・ダウンロード履歴をもとに継続的に最適化
  • 6月9日週より英語(米国)で提供開始、順次他地域・言語に拡大予定

Myskはこの機能を実現するためにApp Storeが収集しているデータの実態を分析し、その規模と粒度を問題視しました。

Myskの分析:収集されているデータの詳細

Myskが確認したApp Storeの送信データには以下が含まれています。

収集データ(Mysk調査)

  • タップした場所・操作のすべて(リアルタイム)
  • 検索したアプリ名・キーストロークごとの入力文字列
  • 各イベントのタイムスタンプ(タイピング速度の算出が可能)
  • 閲覧した広告・アプリを見ていた時間・発見経路
  • デバイスのID番号・機種・画面解像度・キーボード言語・接続方式

デバイス情報の組み合わせは、いわゆるデバイスフィンガープリンティングに相当する情報量です。また、Myskは「これは検索結果を返すAPIとは別の、アナリティクス専用エンドポイントへの送信」と明確に述べており、サジェスト機能(検索フィールドで文字すると候補が表示される仕組み)の副産物ではないことを強調しています。

2022年から続く問題:今回が初指摘ではない

Myskによる同種の指摘は今回が初めてではありません。2022年にも同様の調査が行われており、当時すでに「プライバシー設定をすべてオフにしても、収集データ量は変わらなかった」と報告されていました。

今回の違いは、Appleがその収集データをパーソナライズ推薦という形で「実用化」したことで問題が改めて可視化された点です。9to5Macも同日、「App Storeが全タップを収集することでパーソナライズ推薦を実現している。オフにするオプションはない」と報じています。

構造的な問題:「嫌だからオフにしたい」が通用しない

Myskのポストに対する反応の中で指摘されたのが、iPhoneにおけるApp Storeの独占的地位です。

「Apple Musicが嫌なら、Spotifyという選択肢がある。しかしiPhoneでアプリをダウンロードする場所はApp Store以外にない。」

これはサードパーティのトラッキングに適用されるATT(App Tracking Transparency)との非対称性でもあります。Appleはサードパーティのアプリに対してはユーザーの明示的な同意を義務付けながら、自社プラットフォームでは同等の選択肢を提供していません。

💬 軽めインプレ所感

Tim Cook CEOはキーノートやインタビューで「プライバシーは人権である」という考えを強調していました。競合がトラッキングで収益を上げるなか、Appleだけは違う、という訴求はブランドの強みの一つでした。AIがトレンドになった時にもプライバシー上の理由を説明して、導入には慎重姿勢を示していました。

Privacy to us is a human right, a civil liberty

2022年から自社プラットフォームでキーストローク単位のデータ収集をしていて、「設定をオフにしても変わらない」とすでに明らかになっていたにもかかわらず、それを今回は新機能「Personalized Collections」として強化。Appleのこれまでのセキュリティ重視の姿勢との齟齬を感じるのは、僕だけでしょうか。サードパーティのアプリにはATTで同意取得を強制しながら、自社はその対象外。

結局、建前だけ?あるいは自分たちは特別?いや、まあそうなんですけどね。でも、少なくともオプトアウトは提供するべきじゃ無いでしょうか。

今のAppleは、あの頃のAppleとは違う。また認識を強める出来事でした。

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