Apple Car

WaymoがAppleの自動運転試験場を$220Mで取得──Project Titanの後始末

Apple Car(Project Titan)の資産が当時のライバル社に移行。

Alphabetが出資する自動運転タクシー企業Waymoが、Apple所有のアリゾナ州の自動運転テスト施設を2億2,000万ドル(約320億円)で取得したことがわかりました。マリコパ郡への登記書類で確認され、2026年6月5日付けで取引が完了しています。

Project Titanの後始末──WaymoとJony IveのFerrari Luce

Apple自動運転テスト施設:取引のポイント

  • アリゾナ州ウィットマンの5,500エーカー(約22km²)を$220Mで取得
  • 前オーナーはApple関連のシェル会社「Route 14 Investment Partners LLC」(デラウェア州)
  • Appleは2021年に$125Mで購入。差引$95Mの売却益
  • Project Titan廃止(2024年2月)から2年、物理的資産の後始末がようやく完了
  • Waymoはすでに同じアリゾナ州内にZeekr車両の組み立て工場を保有

Appleが所有していた自動運転テスト施設とは

もともとフィアット・クライスラー(現ステランティス)のテスト場として使われていた施設で、Appleは数年間レンタルで利用したのちに2021年に購入。

この施設内では、Apple Car(Project Titan)のプロトタイプ車両が走行テストを重ねていました。

旧Apple試験場→Waymo取得(Wittmann, AZ)

CONFIRMED — ソース: via TechCrunch

  • 場所:アリゾナ州ウィットマン近郊
  • 面積:5,500エーカー(約22km²)
  • シティコース:115エーカー
  • 車両ダイナミクスエリア:35エーカー
  • オーバルトラック:4マイル
  • 自律走行テスト向けフリーウェイコース(専用設計)
  • Apple取得額:$125M(2021年)
  • Waymo取得額:$220M(2026年6月5日登記)

幻となったProject Titanとは何だったのか

Project Titanは2014年にAppleが極秘で立ち上げた電気・自動運転車プロジェクト。ピーク時には約5,000人が関与し、総投資額は数十億ドル規模とも言われています。

2024年2月に正式廃止が発表され、同年4月にはサンタクララのオフィスで600人超が解雇。
残ったエンジニアの多くはAI・機械学習部門へ異動し、技術的な遺産は2025年のCarPlay Ultraとして形を変えました。物理的資産であるアリゾナの試験場だけが2年間塩漬けになっていたところ、今回、Waymoが買い取った形です。

Waymoにとっての意味

Waymoは、すでにカリフォルニアのCastle Proving GroundとオハイオのTransportation Research Centerを保有していますが、今回取得したアリゾナ施設はその両方を面積で大きく上回ります。

同社のアリゾナ工場ではZeekr製の電動バン(Waymo Ojai)に自動運転システムを搭載しており、新たな試験場との地理的シナジーは明確。現在フリート約4,000台から急拡大中で、2026年末には全米20都市以上への展開と、ロンドン・東京への国際進出も視野に入れています。年間数万台規模の生産を目指すなか、クローズドコースを持つことは戦略に直結します。

土地はWaymoへ。デザインとテクノロジービジョンはどこへ。

Waymoが引き取ったのは土地と施設、つまり物理的な遺産です。
ではAppleがクルマに込めようとした「デザインとテクノロジーが融合したビジョン」はどこへ行ったのか。

そのひとつの答えは、Jony Ive率いるLoveFromとFerrariのコラボレーションEV「Luce」。

Project Titanを長年支え、Appleのデザイン哲学を体現していたJony Iveが、Apple退社独立後に手がけたFerrari EV「Luce」は、Appleがカーデザインに持ち込もうとしたエレガンスとテクノロジーの統合を、自動車業界本流の文脈でついに実現した作品ともいえます。

土地はWaymoへ。ビジョンはLuceへ。Project Titanを何かしらの形に残すことができてよかったとも思えます。

💬 軽めインプレ所感

ゲスイ話をしちゃうと、$125Mで買って$220Mで売れたのは不動産としては悪くないですね。さすがビジネスマン。ただ、Project Titan全体の損失規模を考えると誤差の範囲。何しろ開発費用は数十億ドルなので。

Waymoが$220Mを出してでも欲しかったのは、目的設計された4マイルのオーバルと都市型コース、そしてアリゾナという地の利。Zeekr(Ojai)の組み立て工場と同じ州内にあり、買い物としてリーズナブルではあります。

それにしても、時価総額世界一で動かせる膨大なキャッシュフロー、デザイン資産、快適な開発環境があるAppleがなぜ、EVカーを完成できなかったのか。要因は色々あれども、お金だけでなんとかできることは意外に少ないんだよ、ということを知らしめる実例の一つともいえそう。Steve Jobsが事業を始めた時のキャッシュフローと比べたら雲泥だけど、結果は月とスッポン的な、、、。

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