折りたたみiPhoneの出荷時期が再び揺れ動いています。7月23日のDIGITIMES報道によると、Foxconnは「最終量産調整」の段階にあり、発売時期は決まっていないという話。
Apple初の折りたたみiPhoneについては、今年に入ってから「量産開始」と「まだ調整中」の予想が入り乱れている状態。
しかも出荷時期予想が変わるたびに、その原因が変わっています。ヒンジ、基板の歩留まり、そして今回はエンジニアリング検証。
「何でこんなに次から次に問題が出てきて出荷時期が変わるんだろう」と不思議だったので、少し調べてみると、本質はAppleがサプライヤーに課した「折り目を消す」という課題に集約されました。

そもそも、折りたたみスマートフォンの折り目はなぜ消えないのか
これまでに発売された、折りたたみスマートフォンはディスプレイの折り目問題がついてまわりました。
使っているうちに、いつも同じ場所に癖がつきます。
これが繰り返されると、素材が疲労して溝が残る。
モノを同じ場所で繰り返し曲げれば跡が残るのは当たり前。言ってみれば、物理の法則に近いものです。(物理の法則とは言ってません)
SamsungはGalaxy Foldを2019年に出してから7世代を重ねましたが、折り目は完全には消せていません。ディスプレイを曲げる以上、どうしても発生するのでユーザーも受け入れる必要がありました。
そして、Appleが折りたたみiPhoneを開発するにあたって、この折り目問題を最小にすることに注力していることは何年も噂情報として出てきていました。
なんと、Appleが引いた線は「0.15mm」
Appleがサプライヤーに要求した水準を示したのは、Weiboのリーカー「定焦数码(Fixed Focus Digital)」。
Appleの折りたたみディスプレイの生産受注をラインで確認したとする投稿(2026年2月25日)の中で、以下の2つの数値を挙げています。

REPORTED — ソース:① 定焦数码(Weibo・2026/2/25)、② via MacRumors・Apple一次情報ではない
- 折り目:0.15mm以内に抑制
- 折り目の角度:2.5度未満
- 製品としての完成度は良好と評価
折り目の深さは、開いたときに残る溝の深さ。
0.15mmは、コピー用紙1枚(約0.1mm)よりわずかに厚い程度であり、指でなぞってもほとんど引っかからない水準になります。
折り目の角度は、折り目のところで画面がどれだけ傾いているかを示すもの。2.5度は、ほぼ平面と言っていい角度です。
ただし、この2つの数字は「折り目がない」ことを意味していません。見えにくい範囲に抑える、という水準です。
実際、5月にはリーカーのInstant Digitalが「Appleはある程度の折り目は避けられないものとして受け入れた。ただしテストでは、長期にわたって視覚的に折り目のない状態を保てることが示された」と伝えています。
Appleは折りたたみiPhoneを形にするために、最終的な現実路線として、ゼロを目指すのではなく、使っていて気にならない数値を設定したということになります。
エッチングから、レーザーへ
では、どうやってその線をクリアしたのか。鍵になったのは、ディスプレイの裏側にある金属プレートです。
このプレートには、曲がりやすくするための微細な構造が刻まれています。従来Samsung Displayは、これをエッチング(薬品で溶かす加工)で作っていましたが、それをAppleの要件に合わせるため、レーザードリリングに切り替えました。この話は、アナリストのMing-Chi Kuo氏が伝えているもの。
REPORTED — ソース:① Ming-Chi Kuo氏(X)、② via MacRumors・Apple一次情報ではない
- Appleがより厳しいクリースフリー要件を提示
- Samsung Displayは金属プレートの加工をエッチングからレーザードリリングへ変更
- レーザー加工はコストが高く、本体価格に影響する可能性
- プレートの供給元は韓国のFine M-Tec
レーザーで開けた無数の微細な穴が、曲げたときの力を一本の線に集中させず、広い範囲に散らすという仕組み。
興味深いのは、この影響が競合のSamsungスマートフォンにも及んでいること。
Kuo氏によれば、Appleの厳しい要件が業界基準を押し上げた結果、Galaxy Z Fold 8も同じレーザードリル加工のプレートを使うことになると指摘。
折りたたみスマートフォン市場の後発メーカーであるAppleが、先行していたSamsungの次期モデルの仕様を変えさせた形になります。
さらに、パネルの構造、貼り合わせの方法、材料のプロセスまでAppleが設計したと伝えられていて、それもSamsungの工場で作られます。(競合に新技術を製造させるというのは皮肉な話でもあります)
Appleの厳しい要件を満たした設計の新技術のパネル。Appleの厳しい基準だからこそ、想定外のところで次々に問題が出ているというのが実態のようです。
厳しい基準の新技術だからこそ、製造工程で問題が発生する
少なくとも発表は9月であるはずの折りたたみiPhoneの出荷時期が揺れ続ける理由は、業界新基準の新しい技術を多く取り入れているからとみて良さそうです。
通常のスマートフォンの量産は、すでに何年も積み上げた実績のもと、開発工程が進みます。同じ構造、同じ工程を何年も行っているので、どこで何が起きるかも想定できる。
ところが折りたたみiPhoneは、パネルの構造も加工方法も新しい技術であり、新基準の厳しい要件を満たしていなくてはいけない。つまり、過去のノウハウで解決できない部分が多すぎるということになります。
このため、通常なら経験則で処理できる工程まで、ひとつずつ検証が必要になる。だから、製造段階になっても問題が順番に出てくる。
昨年も試行錯誤の連続が伝えられていましたが、今年に入っての最初の大きな動きはヒンジの耐久テスト(5月)でした。
そして、そのヒンジ問題を乗り越えたと思ったら、今度は基板の実装工程で歩留まりが上がらないという話になりました。
6月末には「量産開始、9月発表は予定通り」という報道。これで落ち着いたかに見えました。
だがしかし。今度は量産の直前に行うエンジニアリング検証で、最大2ヶ月ずれる可能性があるという話が出てきました。
ヒンジ、基板、検証工程。名前は違いますが、どれも「前例のないものを作っているから、確かめないと先へ進めない」という理由が大きいと考えられます。
物理的にも不可避とも思われる、折りたたみスマートフォンの折り目を消すと決めた時点で、この道筋はある程度決まっていたとも言えそうです。
変わらない部分:9月には発表される、という見方は変わっていない
とはいえ、9月のイベントでiPhone 18 Proと一緒に発表される、という見立ては各メディアで一致しています。揺れているのは「発表」ではなく「発売時期、出荷時期」です。
規模に関しては、サプライヤーに1000万台の準備を指示したという話も出ていましたが、Kuo氏は発表直後の実出荷を50万〜100万台程度と見積もっていて、これを変えていません。
価格については、2月の時点では「値付けは保守的」という見方もありましたが、その後にホルムズ海峡の情勢、DRAMとSSDの逼迫と高騰が重なり、Tim Cook CEOは「値上げせざるを得ない」とコメントした後、MacとiPadは大きく値上げ。iPhoneについては、日本では先に為替調整が入っています。
Apple初の折りたたみiPhoneの予想倍加は、現段階では2000〜2500ドルあたりという見方がほとんど。
想定為替を反映した日本での展開価格の予想は先日書いたとおり。40万円になってもおかしくないという、かなりの高額商品になります。
💬 軽めインプレ所感
なお、今回の「年末にずれ込む」情報を大sているのはDIGITIMESの記事です。DIGITIMESさんの記事はサプライヤー筋の情報は確度は高いけど、最終的な結論は確度が低いよねえ。という評価に関しては、他のメディアでも同じ扱いです。ですので、これが最終回答であるという判断はできません。
今年はiPhone 18 Proも折りたたみiPhoneも、いろんな噂が積もっていますが、噂は噂として楽しむのが一番かと。ただ、サプライヤーの情報が揃ってくると、確定的になる情報もあるということも事実です。さて、2ヶ月後が楽しみです。
とはいえ、買うかどうかは、Appleが日本国内で手が出しやすいプランを用意してくれるのかどうか。最終的にはここにかかってきそうです。
あれ?買うんだっけ?
- 定焦数码(Fixed Focus Digital)— Weibo(2026/2/25)
- MacRumors — iPhone Fold Crease Measurements Revealed as Device Hits Production
- MacRumors — Apple’s 2026 iPhone Fold Rumors: Crease-Free Design, Price, Launch Date and More
- MacRumors — Foldable iPhone Production Stalls Amid Hinge Issues
- DIGITIMES — Apple’s first foldable iPhone faces production hurdles(有料記事・本文未確認)
- AppleInsider — Apple’s foldable iPhone launch in question amid production hiccups
- 9to5Mac — iPhone Ultra timing remains unclear as ‘final production adjustments’ made
- Digital Trends — Apple’s foldable could arrive on schedule as Foxconn hires temporary workers












