「AppleがMacBook Neoが売れすぎ問題に直面。ビンチップ在庫が尽きそうで、増産か打ち切りかの瀬戸際」でお伝えした、売れすぎのMacBook Neoのチップ確保で動きがありました。
Appleはサプライヤーに対して生産能力を1,000万台規模に引き上げるよう要請。TSMCにA18 Proチップの追加ロットを発注したことがサプライチェーン筋の情報として伝えられています。

MacBook Neo 増産のポイント
- 生産計画を当初の500〜600万台から1,000万台へ倍増
- TSMCにA18 Proのホットロット(優先製造ロット)を追加発注
- チップはA18 Proのダウンビン版(GPU 5コア)。新ロットは正規品が中心になる見込み
- Tim Cookが「需要を読み誤った」と4月30日の決算説明会で発言
- 製造はQuantaとFoxconn(ベトナム・中国)。納期は最大4週間に拡大
- コスト増により、廉価モデル(256GB/$599)廃止の可能性も
Appleが増産を交渉中からの動き詳細
今回の増産報道は、台湾在住のアナリスト Tim Culpan氏(Culpium)によるスクープ。4月7日の前報「Appleが増産を交渉中」に続く続報です。
Culpium報道によれば、AppleはMacBook Neoの需要が供給を大幅に上回ったことを受け、増産か在庫枯渇かの判断を迫られていました。最終的に増産を決断し、サプライヤーへの発注台数を約2倍に引き上げたとのことです。
A18 Proチップの「ダウンビン」とは何か
前の記事でも書きましたが、ビンチップとMacBook Neoの関係について触れておきます。
MacBook NeoのチップはA18 Proをベースにしたダウンビン版です。
ダウンビンとは、半導体製造において「一部に欠陥があるか、設計スペックを満たせなかった」チップを廃棄せず、問題のある部分を無効化して別製品に転用する業界慣行のこと。MacBook Neoの場合、A18 Proが本来持つ6コアのGPUのうち1コアを無効化し、5コア構成として搭載しています。
製造コストとしてはiPhone 16 Pro向けにすでに製造済みのチップを流用するため、実質的に「ほぼゼロコストのチップ」として使えるのがこのモデルの利益構造の肝でした(Stratechery・Ben Thompson氏の分析)。
ところが今回のホットロット発注では、製造するのはすべて新品のA18 Pro。ダウンビン品が出るかどうかは製造歩留まり次第であり、多くは6コアGPUが全基動作する正規品になります。NeoとしてはGPU 5コア品に揃える必要があるため、Appleはソフトウェアで1コアをオフにして対応する見込みとのこと。
INFO
- 対象製品:MacBook Neo
- チップ:A18 Pro(TSMC N3E)ダウンビン版 / GPU 5コア
- 当初生産計画:500〜600万台
- 新生産計画:約1,000万台(Culpium)
- 製造委託先:Quanta・Foxconn(ベトナム・中国)
- 現行ラインナップ:256GB $599 / 512GB $699(各4色)
- 納期:最大4週間(需要超過による)
- 追加ロット:TSMCへA18 Proのホットロットを発注
コスト増と価格改定の懸念
増産には課題もあります。ダウンビン品と異なり新規製造チップはコストが高く、さらに現在のDRAM価格高騰も重なってNeo本体の製造コストが大幅に上昇している、と同報道は指摘しています。
Culpium氏は対応策として2つの可能性を示しています。ひとつは256GBモデル($599)の廃止。512GBモデルのみに絞ることで実質的な値上げをする手法で、Appleは先月Mac miniで同じ動きを見せています($599の256GBモデルを販売終了)。もうひとつはカラーバリエーションの追加によってコスト増の印象を薄めつつ話題性を維持する手法です。
💬 軽めインプレ所感
ビンチップで利益構造を組んでいたのに、売れすぎてしまって正規品を買わざるを得なくなったという。
「嬉しい悲鳴」というより、粗利益率を守るか販売台数を取るかという経営判断で、Appleが後者を選んだということになります。Tim Cookが「需要を読み誤った」と公言するのは珍しい。それだけNeoは想定外のヒットということになりました。
注目は256GBモデルが消えるかどうか。Chromebook代替としての訴求力を維持するなら$599の価格ラインは重要なはずで、そこを崩すとNeoのポジショニングが揺らぐかもしれません。それでもまだ安いか。







