Appleは4月1日の創業50周年に向けて、世界各地で記念イベントを順次開催していますが、そんな最中、CEO Tim Cookが米ABCの情報番組「Good Morning America」に出演。
噂が出ていた退任説については否定するとともに、AI・プライバシーへの見解、米国内製造への投資など、複数のテーマにわたってコメントしました。インタビューは3月17日(現地時間)に放映されています。

ポイントまとめ
- 退任説を明確に否定。「Appleのない生活は想像できない」と述べた
- 50周年を振り返り、音楽・スマートフォン・ヘルスケアでの革新を挙げる
- AIは「深く、ポジティブな可能性がある」としつつ、使い手次第と強調
- プライバシーについて、デバイス上処理・暗号化・Private Cloud Computeの仕組みを説明
- 「スマートフォンを見すぎないでほしい」と過度な依存を戒めるコメントも
- 関税対応として今後4年間に米国内へ600億ドルの投資を表明。iPhoneのガラスをケンタッキー産に、SoCをアリゾナで年間1億個以上生産する計画
- Save The Musicとの教育パートナーシップを拡大。対象校を約2倍に増やし、2万5,000人の子どもへの音楽教育を目指す
ニュースメディアも報じていた退任説を否定。ただし。
2025年末以降、Financial TimesやNew York Times、Bloombergがそれぞれ「Cookが2026年に退任する準備を進めている」「会長職への移行を検討」と相次いで報じていましたが、こうした報道に対してCook氏は今回のインタビューで正面から否定し、28年間Apple一筋でやってきた思いを語りました。
ただ、Cook氏は2021年にKara Swisher氏のポッドキャストで「10年後にはおそらくここにいない」とも述べているので、今回の発言はCEO職の継続を明言したものではなく、退任の噂の事実関係を否定したもの、という見方もあります。
Tim Cook プロフィール
- CEO就任:2011年8月(Steve Jobs後任)
- Apple在籍:1998年〜(28年)
- 年齢:65歳(2025年11月生まれ)
- 後継者最有力:John Ternus(ハードウェアエンジニアリング担当SVP)
AI・プライバシーへの見解は変わらず
AIについては「非常に深く、ポジティブになりえる技術」と評価しながらも、技術そのものに善悪はなく、発明者とユーザーの使い方次第だという立場を改めて示しました。
Appleのプライバシー設計については、処理をできる限りデバイス上で完結させ、クラウドに送る必要がある場合は「空にある大きなデバイス」と表現するPrivate Cloud Computeで同等のセキュリティを確保していると説明しています。
この主張については、以前と変わりありません。
2023年5月の決算説明会でChatGPTへの見解を問われた際も、Cookは「整理すべき問題がいくつかある」「慎重かつ思慮深く取り組むことが重要」と述べており、AIのポテンシャルを認めながらもバイアスや誤情報のリスクを指摘する姿勢は一貫しています。同時に、一貫性はあるものの、Apple Intelligenceを発表したのはWWDC 2024で、その後も主要機能の搭載延期が相次いでいて、いまだにキャッチアップできていないことも事実です。
米国内製造と関税対応
Trump政権の関税政策でAppleはこれまでに33億ドルを負担したとされていますが、Cookは法的対応については「状況を注視し、裁判所の判断に応じて決定する」と慎重な姿勢を維持。一方で米国内製造への大型投資を改めて強調しました。
米国内製造 計画
- 投資総額:今後4年間で600億ドル
- iPhoneのフロント・バックガラス:2026年末までにケンタッキー産へ
- SoC(システムオンチップ):アリゾナで年間1億個以上生産予定
- 米国内で年間200億個以上の半導体生産を目指す
💬 軽めインプレ所感
インタビューでの話ぶりをみると、リラックスしてプライベートな雰囲気というよりも、製品のメリットやAppleの社会貢献を澱みなくアピールする機会を得たキーノートスピーチに近い何かを感じたり。
今回のインタビューの発言で「退任説は否定された」と受け取るのはちょっと待った方がいいかも。
Cookが否定したのはあくまで「一歩引きたいと言った」という事実の部分で、CEO職から会長職への移行そのものを明確に否定したわけではなく、Apple創業50周年の4月1日を直前に控えたタイミングでもあるので、株価や対外的なメッセージを意識した発言という見方も可能。
いずれにせよ、後継者として準備が進んでいると見られるJohn Ternus氏の動向は今後のAppleイベントでも引き続き注目ですね。
デザインチームの統括移譲、製品発表動画への登場増加など布石は多い。ところで、50周年イベントは東京ではやらないんですかね。