去年から動きが伝えられていましたが、AppleがTim Cook CEOが取締役会の執行会長(Executive Chairman)に就任し、ジョン・ターナス(John Ternus)上級副社長が2026年9月1日付けでCEOに就任すると発表しました。
2011年にスティーブ・ジョブズ氏からバトンを受け取って以来、15年にわたってAppleを率いてきたCook氏。CEO交代はジョブズ氏以来初めてのことになります。
Apple CEO交代ポイント

- Tim Cook、9月1日付けでCEO退任 → 執行会長(Executive Chairman)へ
- 後任CEOはハードウェアエンジニアリング担当SVPのジョン・ターナス氏(51歳)
- 取締役会の全会一致による承認。長期的な後継者育成計画に基づく人事
- ターナスCEO就任と同時に取締役会にも参加
- 現非執行会長Arthur Levinsonは筆頭社外取締役(Lead Independent Director)へ移行
- Johny Srouji氏がターナス氏の後任としてChief Hardware Officerに就任(同日発表)
Tim Cook CEO、15年の実績
公式発表によると、Cook氏在任中のAppleの時価総額は約3,500億ドルから4兆ドルへと1,000%超の成長。年間売上高は2011年度の1,080億ドルから2025年度の4,160億ドル超へ約4倍に拡大しました。
COOK在任中の主な実績(Apple Newsroom)
- 時価総額:約3,500億ドル → 4兆ドル(1,000%超増)
- 年間売上高:1,080億ドル(2011年度)→ 4,160億ドル超(2025年度)
- Apple Services:年間1,000億ドル超のビジネスへ成長
- アクティブデバイス数:25億台超
- Apple Store:500店舗超・200以上の国と地域に展開
- カーボンフットプリント:2015年比60%超削減
Apple Watch・AirPods・Apple Vision Proといった新カテゴリの創出、Apple Siliconへの移行、iCloud・Apple Pay・Apple TV+・Apple Musicなどのサービス事業の拡大もCook体制下の成果です。
Executve Chairmanとしての役割として、公式発表では「世界各地の政策立案者との関与」が明記されています。これは、関税問題や規制当局との交渉といった政治的な文脈での役割を引き続き担うことを示唆しています。
次期CEO ジョン・ターナスとは
ターナス氏はペンシルベニア大学で機械工学を修め、卒業後はVirtual Research Systems(VRヘッドセットメーカー)で機械エンジニアとして勤務。2001年にAppleの製品設計チームに参加し、以来25年近くAppleのハードウェアを担ってきた人物です。
2013年にハードウェアエンジニアリング担当VPに昇格、2021年にSVPへ。iPad・AirPodsの立ち上げ、Apple Siliconへの移行、MacBook Neo・iPhone Airを含む近年の製品ラインナップのほぼすべてを主導してきました。
PROFILE(Apple Newsroom / Wikipedia)
- 年齢:51歳(1975年生まれ)
- 学歴:ペンシルベニア大学 機械工学部(1997年卒)
- 前職:Virtual Research Systems(機械エンジニア)
- Apple入社:2001年(製品設計チーム)
- VP昇格:2013年
- SVP昇格:2021年(Dan Riccioの後任)
- CEO就任:2026年9月1日(予定)
Bloombergは同日、ターナス氏の経営スタイルについても報じています。Cook氏は製品開発の判断を幹部グループに委ねる傾向があり、「AかBか」と問われても質問を返すだけで決断を下さないこともあったとされています。ターナス氏はその点で対照的で、「正しいかどうかは別として、とにかく決める」スタイルとされています。
ターナス氏がApple Vision ProとApple Carの両プロジェクトに対して慎重な立場を取っており、程度の差はあれ反対していたと伝えています。Vision Proは10年・数十億ドルの投資にもかかわらず苦戦、Apple Carは約100億ドルを投じてキャンセルされました。製品への「より鋭い集中」を期待されての起用という文脈と、一致した姿勢です。
Bloombergは以前から、ターナス氏を後継者の最有力候補と報じていました(Bloomberg)。Appleのメディア露出でも近年ターナス氏への「スポットライト」が増えていたと、同メディアは指摘しています。
ターナス体制の最大の課題:AI
CNBCの報道によると、アナリストのDan Ives氏はターナス氏へのプレッシャーについて「Cookは輝かしいレガシーを残した。特にAIの面で、ターナス氏はスタートから結果を出すことが求められる」とコメントしています(CNBC)。
AppleはAI分野で競合に後れを取っているとの見方が強く、Siriのアップグレード遅延が批判を集めていました。現在はGoogle GeminiのAIモデルをベースにした新バージョンのSiriを今年中にリリース予定としています(CNBC報道)。ハードウェア出身のターナス新CEOが、AI・ソフトウェア面での課題にどう向き合うかが最大の注目点です。
💬 軽めインプレ所感
ここ数年、CEOを離れるという報道が出ていましたが、思ったよりも早いタイミングで動いたように思います。今年の初めには、まだCEOやるよ、というインタビューもあったので、今年いっぱいくらいかな、とは思っていたのですが。CEO職15年という長さが長いか短いか、それは後世の評価になるのかな、と思いつつ。
Tim Cook氏の功績は大きいわけですが、同時に民主的に戦略を決めすぎたという見方もあるみたいですね。
9月にCEO職につくターナス氏の印象は「作る人」。
iPhone Air・MacBook Neoのような、形として見える結果を出してきた人物が頂点に立つのは、Appleにとってはいい選択に思えるし、デザイン系じゃないけど、Appleは長いので勘所は抑えてるのかなとも想像します。
まあ、AIは課題ですよねえ。そもそものスタートポイントから状況認識が遅かったので、すでに機能的な差が大きく、そこを挽回するのは相当ハードルが高い。キャッチアップすら厳しいので、オンデバイスAIとしての可能性を高めるしかないのかな。でも、オンデバイスAIというのは、良くてもLM Studio的な機能になりますよね。
iPhoneメモ・音声連携で下書き作るくらいかな。あとはSiriの実用性が上がるかどうか。
何が形になるか。その先の構想は今年後半になりそうですね。